2001/9/12
ちっかん
私のビズ遍歴
本日のお題は「私のビズ遍歴」。「bise」とか「bisou」と書くようですが,ビズ,
頬と頬をくっつけるフランス式の挨拶です。フランス映画などでもよく見られます。
ですが実際にこちらにきて初めてこのビズをされて,
戸惑われた方も多いのではないでしょうか。
私もその一人でした。最初は訳も分からず,なされるがまま,
なんだかよくわからないが
「ほっぺたをくっつけとけ!」と言う感じでした。
ただでさえ人との距離をある程度保つお国柄の日本人。
最初はやはりテレがありました。
特に若いハンサム(死語)な青年とビズをする時など,
羞恥とヨロコビが混ざり合った
複雑な気持ちになったものです(笑)。そのうちだんだんとその習慣にも慣れ,
「お,私も一人前のフランス人か?」などど思い始めた頃,
ホームステイ先の9歳の女の子に一言「チッカンのビズの音はよくない」と言われ,
まさに晴天の霹靂・・・がび〜ん・・・。この「ビズの音」と言うのは,
頬と頬をくっつけるときに,別に実際に頬にキスをするわけではないのですが,
その時に鳴るような「チュッ」と言う軽い音を立てるんですね。
と言うわけで学校の帰り道,一人このビズの音を練習するちっかんが
しばらくの間見受けられました・・・。練習の成果を意識するあまり,
「ブッ」などど可愛くない音を立ててしまうこともしばしばあったものです。
この音が上手に鳴り始めると,今度は回数でちょっとつまずきました。
どうも地方によって回数に差があるようなのです。
あと若干ですが年齢層によってもあるらしいです。学校の友人とも,
通常「左・右」と2回だと思っていると,
「私は3回なの」と言われたり,パリ近郊だとこれが4回になるのよ,
などと教えてもらったり。それにしても4回!「ちゅ,ちゅ,ちゅ,ちゅ」・・・。
ちょっと長くないかい。
そして最後の関門は,「ホントにほっぺにちゅーしちゃうビズ」でした。
ある時,たけまるさんとこのビズ談議をしておりますと彼が,
「でも仲良くなると結構ほっぺにぶちゅってしちゃうよね」
と嬉しそうにのたまうではありませんか?「ええっ!」と私。
「唇つけちゃうの!?」
「そりゃーもちろん。ふふふ」
「えーそれってたけまるさんが勝手にしてるだけじゃないんですかー」
「そんなことないって,普通やって!」
「・・・(ちっかん思いっきり不信)」
とまあ,こんな会話がなされまして,
これはこれでちょっとカルチャーショックでした。
確かにちゅーぎりぎりにしてくる男性がいないこともありませんでした。
そんな時私は心の中で,「ビズも考え物だ。好みの男性だったらまだしも,
そんなに気の合いそうもない男性からこんなビズはして欲しくない」,
と憮然としていました。
ですがそんな私にも「ほっぺにぶちゅービズ」の洗礼を受ける日が
やってきたのです。たけまるさんは確かに嘘つきじゃなかった・・・!
それもたけまるさんの友人で,ちょっと年輩のひげもじゃの男性に,
ぐっと肩と腕を捕まれて,「んちゅっ!んちゅっ!」という感じで親愛の情を
表現されてしまいました。ちっかん逃げ場なし。
今回,何が言いたかったのかと申しますと,こうやってこまめに異性に
接触しておきますと,日本の高級官僚のように,援助交際だの,電車中
での痴漢だのと騒動をおこさなくて済むのではないかと言うことです。
「ビズの効用」で御座いました。