ちっかん・バックナンバー2001/09

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2001/9/5
ちっかん

恐怖の単位登録

皆さま,こんにちは。 お久しぶりの水曜担当ちっかんです。 いよいよ9月。小中学校はそろそろ新学期が始まろうとしています。 私の4ヶ月にも及んだ夏休みも,悲しいことに終盤に差し掛かってきました。

10月から大学も始まります。ちっかんも大学生生活3年目に突入。 もう慣れたものです。年初のオリエンテーションなんかもありますが, フフフン,もうそんなもの出席しなくってもいいくらいです。

と,今ではこんなにこなれたちっかんさんですが, 最初の年は酷い目にあったものです・・・ と言いますのも,入学式や始業式があるわけでもなく, いきなり授業は始まってしまいます。 更に言うなら,必修単位履修のための細かい事務説明等々が,ほとんど無いのです。 薄っぺらい冊子を渡され,詳しくはその中に書いてあるからよく読むように, と言われます。でも全然詳しくなんてないんです! 確かに何日の何時にここへ行って必修及び選択の 単位登録を行うように云々の記述はありました。でも日本の大学のように, この科目を履修したければ,これこれこれだけの単位が必要で,これとこれだけは 必ず選択するように,と言った懇切丁寧な説明はぜんぜん見あたりません。 (後日,なめるようにこの冊子を読み返しましたところ,ちっっちゃーくこうした説 明が書かれてありました。こんな大事な事なんだからもっとわかりやすく書け!)

仕方がないので周りのフランス人に聞いてみます。 でも彼らもぜんぜんわかってません。 拙いフランス語で,学部の事務の人にも聞いてみます。 でもここはその担当ではないから よくわからない(でたー)とのこと。じゃあどこに行けばいいんだ,と言って, また教えられた ところに行ってみます。 そうすると「兎に角なんでもいいからひとつ選択すればいいのよ」 と言ったなんとも大雑把なアドバイスを頂きます。 不安に思って他の事務の人にも聞いてみます。 すると,「ああそうじゃないわ。こことここから一科目ずつ選択するのよ」 っておまえら,言っとることが全然違うやんけ!

あわれちっかんは複数の事務室をたらい回し(ざっつフランス!)にされたあげく, 確かな情報を全く 得ることができませんでした・・・。そして結果的には間違った単位登録をし, 後日訂正を余儀なくされるのです (ちっかんさんももっときちんと確認しなくてはならないですね)。

思ったこと。 日本ってこういう事務処理能力に優れてるぅ!ということ。この時期, 学部の事務室の前にはちっかん同様,よくわかっていない学生がずらーっと並ぶのです。 そして秘書の人に,全員ほぼ同様の質問を繰り返します。 そのうち秘書さんはイライラしてくるし,学生も嫌な思いをします。 こんなことならオリエンテーションの時に,もっときちんと説明すればいいのです。 少なくとも日本でこうした手際の悪さはあまり経験しませんよね。 でもさらに思ったこと。 日本ってこういうところは,本当に至れり尽くせり, 痒いところに手の届くサービスを受けることができますが, 結果案外と情報に受け身な性格を作り上げる一助を担っているかもしれませんね。 実際私も,頭のどこかに「きっと誰かが教えてくれる」的な発想があったように思い ます。 会社でも(ちっかんは元OL)そうした細々とした事務は, 総務課の人がやってくれてましたから(笑), ここでも最終的には誰かがやってくれるだろう,くらいに思っていたんですね。 ですがフランスではあくまでも自分が求めていかないと,得ることはできません。 こんなところにも,日本とこちらの差を見ることができたように思います。

2001/9/12
ちっかん

私のビズ遍歴

本日のお題は「私のビズ遍歴」。「bise」とか「bisou」と書くようですが,ビズ, 頬と頬をくっつけるフランス式の挨拶です。フランス映画などでもよく見られます。 ですが実際にこちらにきて初めてこのビズをされて, 戸惑われた方も多いのではないでしょうか。 私もその一人でした。最初は訳も分からず,なされるがまま, なんだかよくわからないが 「ほっぺたをくっつけとけ!」と言う感じでした。

ただでさえ人との距離をある程度保つお国柄の日本人。 最初はやはりテレがありました。 特に若いハンサム(死語)な青年とビズをする時など, 羞恥とヨロコビが混ざり合った 複雑な気持ちになったものです(笑)。そのうちだんだんとその習慣にも慣れ, 「お,私も一人前のフランス人か?」などど思い始めた頃, ホームステイ先の9歳の女の子に一言「チッカンのビズの音はよくない」と言われ, まさに晴天の霹靂・・・がび〜ん・・・。この「ビズの音」と言うのは, 頬と頬をくっつけるときに,別に実際に頬にキスをするわけではないのですが, その時に鳴るような「チュッ」と言う軽い音を立てるんですね。 と言うわけで学校の帰り道,一人このビズの音を練習するちっかんが しばらくの間見受けられました・・・。練習の成果を意識するあまり, 「ブッ」などど可愛くない音を立ててしまうこともしばしばあったものです。

この音が上手に鳴り始めると,今度は回数でちょっとつまずきました。 どうも地方によって回数に差があるようなのです。 あと若干ですが年齢層によってもあるらしいです。学校の友人とも, 通常「左・右」と2回だと思っていると, 「私は3回なの」と言われたり,パリ近郊だとこれが4回になるのよ, などと教えてもらったり。それにしても4回!「ちゅ,ちゅ,ちゅ,ちゅ」・・・。 ちょっと長くないかい。

そして最後の関門は,「ホントにほっぺにちゅーしちゃうビズ」でした。 ある時,たけまるさんとこのビズ談議をしておりますと彼が, 「でも仲良くなると結構ほっぺにぶちゅってしちゃうよね」 と嬉しそうにのたまうではありませんか?「ええっ!」と私。

「唇つけちゃうの!?」
「そりゃーもちろん。ふふふ」
「えーそれってたけまるさんが勝手にしてるだけじゃないんですかー」
「そんなことないって,普通やって!」
「・・・(ちっかん思いっきり不信)」

とまあ,こんな会話がなされまして, これはこれでちょっとカルチャーショックでした。

確かにちゅーぎりぎりにしてくる男性がいないこともありませんでした。 そんな時私は心の中で,「ビズも考え物だ。好みの男性だったらまだしも, そんなに気の合いそうもない男性からこんなビズはして欲しくない」, と憮然としていました。

ですがそんな私にも「ほっぺにぶちゅービズ」の洗礼を受ける日が やってきたのです。たけまるさんは確かに嘘つきじゃなかった・・・! それもたけまるさんの友人で,ちょっと年輩のひげもじゃの男性に, ぐっと肩と腕を捕まれて,「んちゅっ!んちゅっ!」という感じで親愛の情を 表現されてしまいました。ちっかん逃げ場なし。

今回,何が言いたかったのかと申しますと,こうやってこまめに異性に 接触しておきますと,日本の高級官僚のように,援助交際だの,電車中 での痴漢だのと騒動をおこさなくて済むのではないかと言うことです。
 「ビズの効用」で御座いました。

2001/9/19
ちっかん

Les journees du patrimoine

皆さまこんにちは。ちっかんです。 アメリカテロから一週間経ちました。テレビを見る限り,復興作業は休む間もなく 進められているようですが,まだまだ行方不明の方々は多いようで,痛ましい限りです。

さて,フランスでは先週末"Les journees du patrimoine"と言って,多くの美術館, 博物館への入場が無料になりました(ちなみにこれは毎年行われています)。 それだけではなく,普段公開していないような 建物や,美術品が公開されたりもしました。これはフランス全土で行われていますので, 各地で行かれた方も多いのではないのかと思います。

私もここグルノーブルで,Musee de l'Ancien Evecheという 美術館に行って参りました。こちらに来て以来,行こうと思っていた美術館 だったのですが,生来の出不精ここに極まれり,と言う感じで 4年目にしてやっと訪れることができたわけです。 土日通して無料。おまけにこれまた無料で,ガイドさんによる美術館解説も, 一日に2, 3度行われている模様でした (ちなみにこのガイド付きの美術館巡り,大変興味深かったです)。 私たちの入ったグループも大変盛況で,2, 30人はいたと思われるます。 最後の方でガイドさんが, 「こうしたガイド付の美術館巡りは毎週日曜日に行われていますので, 今日だけでなく,是非そちらの方もご利用下さい!」と言って 笑いを買っていました。普段はなんと5, 6人しか利用者がいないとのこと!

ルーブル美術館などもそうですが,毎月第一日曜日は美術館を無料で開放 しているところが,フランスでは多いようですね。このガイド付き巡りも, 各美術館で,曜日は違うようですが行われているようです。 入場料に関して言うなら,私のような美術史を勉強している学生は 無料で入れる美術館がほとんどです(ダメでも大概学生割引になります)。 そして,失業者もタダで入れる美術館も多いのです!

文化を国に浸透させようとする政策の一環なんでしょうか, 今回お話したような面では,日本と比べいつも驚かされることが多いです。 音楽を聴く,演劇を見る,パレエを鑑賞する等々,そもそもの料金設定の 低さに加えて,学生料金の安さ。前回書きました映画料金もそうですが, 文化・芸術に親しみやすい環境が整えられていることに感嘆せずには いられません。

2001/9/26
ちっかん

仏蘭西的美容院その壱

みなさま,こんにちは。ちっかんです。 今週はコラム書いてる方のお休みが多いので,私はハッチャキマチャアキで 行こうと思います(このギャグ,だれか付いてきてね・・・)。

本日ちっかんは美容院に行って来ました。4月に日本で行って以来です。 パーマも取れかかり,髪も伸び放題のよれよれで駆け込んで参りました。 日本にいた頃は,これでも2ヶ月に一回は美容院に行っていました。 エステに行くようなもので,あそこに行くと綺麗になれるし,わりと自分の 思った通りの髪型に仕上がるので, 私の一種のストレス解消にもなっていたのです。

ところが,私はこちらに来てそれほど美容院に行かなくなりました。 あまつさえ自分の髪を自分でざっくざっくと切るようにもなりました。なぜか。 それはわざわざ美容院で高いお金を払っても,自分の満足いくように 切ってもらえることは稀,下手をすると,一体どうすれっちゅーねん, あるいは,ここまで切るって誰が言った?! (ま,これは日本でもありがちですね), などど言った非常事態がまま起きると言うことが判明したからです。

髪の長い方がちょっと揃えてもらいに行く,くらいの方が安全でいいかもしれませ ん。 コワイのはイメージチェンジをするべく,意気込んで行くときです。 日本ですと,口頭で説明するなり,写真を見せるなりすると,まあ100% 満足!とはいかないまでも,そこそこの仕上がりを見せてもらえるでしょう。 ところが私の場合,いまをさかのぼること三年前, 180度予想を裏切る仕上がりにされてしまったことがありました・・・(涙)。 言葉の壁があったとは思えません。なぜなら写真だって見せたからです。

三年前のその日,私はおそるおそる美容院のドアをくぐりました。 予約はしていないけど大丈夫か,と尋ねると,笑顔で問題ないと言われました。 上着を預け,貴重品の 入っている手荷物は自分の席に置きました。さあ,いよいよ髪型相談の お時間。レストランで言うならメニューを決める,ちょっとココロはずむ瞬間です。 私はおもむろに,映画「フレンチキス」当時のメグ・ライアンみたいな髪型 (当時私の中で流行ってたんですぅ)にしたい,と言いました。身振りも交えて その髪型を説明したのです。そうして美容師さんの答え。

「誰それ?」

ちっかんが〜ん。メグ・ライアンを知らない美容師さんっていてもいいわけ? それでも私はめげずに手近にあった雑誌の中から,それに一番近い髪型 を選んで彼女に見せました。そして彼女が言った台詞は,「あなたの髪質では この髪型は絶対にできない」でした。それをなんとかするのが美容師の役目じゃ! と心の中で叫びつつ,このウェーブの所はパーマをかけてはどうだ等々, いろいろ自分からも意見を出しつつ相談は進みました。

すったもんだの挙げ句,少し長めにカットしてパーマをかけてこのウェーブをだす, と言うことに決定しました。彼女は笑顔で私に,「がんばってみるわね」 と言ったのです。 今思えば,パーマと言ったのはこれ以上ないほど愚かな提案でした。じゃなければ 彼女に頑張ってもらわなければよかったのです。

引っ張ってすみませんが,長くなったので続きは来週にします。 次回は,フランス風シャンプー,カットおよびパーマの実態,及びそれによってちっかんの 髪型がどのようになったのか報告させていただきたいと思います。


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